上機嫌で何が悪い!ブログ「アウトロー・オーシャン」(上)(下)イアン・アービナ著 黒木章人訳

 確実に僕の感覚の世界が広がった本、海ではこんなことがおきていたのか。

 筆者は「ニューヨークタイムズ」の記者で、この一連の取材でピュリッツァー賞受賞。ソマリアやタイの大臣に直接電話することができるほどの権力と人脈と資金力と技術力を駆使して、大海原での水産業運輸業の実態を暴き立ててゆく過程は、爽快感や疾走感もあると同時に、恐怖で何度もおぞけを震いました。

ほんとに僕は知らないで船舶免許で外洋に・・・、なんてロマンチックな夢をもっていたのですが命の危険は、海そのものにあるというよりは、海で稼ごうとする人間からもたらされるものだと知りました。

 韓国のサジョ・オヤン産業の章は、ほんとに胸が悪くなるくらい惨状です。フィリピン・タイ・バングラデシュそして海洋大国のインドネシア貧困層がどうやって海で働くようになったのか、海ではどのように魚を取っているのか、読めば読むほど恐ろしくなります。普段は意識していないけど、僕が今も「法」で守られていることが非常にありがたく思えます。

自分の枠が大きくひろがること間違いなしの一冊。非常に面白かったです。