上機嫌で何が悪い!ブログ「忘れられた巨人」カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳

 ゲームオブスローンズの世界やん!これが第一印象です。騎士、ドラゴン、鬼、砦がいかに効率よく人を殺すことができるのか、そして民族間の対立。

 ブリトン人もサクソン人もともに同じ神(キリスト教)を信仰しながら根深くいがみ合っているのは不思議な感じがします。対立を覆い隠していたのは、悪しき存在として扱われていた雌竜クエリグの吐く息だったのです。複雑に入り組んだ構造でおもしろいです。

しかし、船頭のくだり、謎が深いです。最後二人は同じ島に辿り着いたのでしょうか、僕は辿り着いていないような気がします。アクセルは最終的に島には渡らなかったような気がします。大変気になる最終章です。ウィスタンがクエリグを殺さなかったほうがよかったのかも。

老騎士のガウィエン卿、勇敢な少年エドウィン、それぞれキャラクターが粒だっています。ファンタジー、面白い一作です。