2020-01-01から1年間の記事一覧

上機嫌で何が悪い!ブログ「劇場」又吉直樹著

前作と打って変わって、主人公に鬱屈した人物を据える。その鬱屈ぶりが「辛うじてわかる」、と「訳が分からない」のボーダーラインを行ったり来たり、な一作。 例えばこういうところは「わかる」。『金もないのになぜ腹がへるのだろう。人の親から送られた食…

上機嫌で何が悪い!ブログ「デッドライン」 千葉雅也著

言葉には、その言葉が背負っている背景、使われ方、文脈がつきまといます。それがあるから、比較的短い文章で理解できるメリットで、恩恵を受けることのほうが多いと自覚しています。 でも僕がこの本の感想を書こうとおもった時、そんな言葉が内包する言葉の…

上機嫌で何が悪い!ブログ「死の棘」島尾敏雄

まぁ読むのに時間がかかったこと。短編集なのに。 精神科病棟から始まる夫婦の生活、その過去が徐々に明らかにされていく。病床から妻の呪詛の言葉が続く。夫の内的告白も続く。どっちも疲れるのです。 呪詛の言葉は、もはや答えようのない質問という形で、…

上機嫌で何が悪い!ブログ「承久の乱」日本史のターニングポイント 本郷和人著

やっぱり学者の知識は面白い、と再確認。中学生の頃、「ヒトにフイ打ち(1221年)「承久の乱」と覚えたぐらいしか思いれのない争いが、人物の迷いまで感じられる、身近に感じられます。 冒頭、「幕府」というきちんとした政治システムが確立されていたわけで…

一週間で身につくC#勉強中20

prob8-3. 任意の数値の階乗を求めるプログラムを作りなさい。階乗とは、その数から一つずつ減らした全ての数を書けた数値のことであり、例えば、6の階乗は、6×5×4×3×2×1=720となる。 using System; namespace prob8_3 { class Program { static v…

上機嫌で何が悪い!ブログ「地球にちりばめられて」多和田葉子 著

少し不思議なふわふわとした印象の文体、でも取り扱っている素材はシュールレアリスッテクな未来。ヨーロッパ圏(ドイツ)に永住権を有するだけあって、言語や人種に関する意識が鋭く、非常に面白い一冊。 既に滅んでしまっている(滅んだ理由はついぞ明らか…

一週間で身につくC#勉強中19

prob8-2.(ピタゴラス数2) prob8-1.のデータから、重複を取り除いた組み合わせと、その数を表示するプログラムを作りなさい。具体的には、a=3,b=4,c=5と、a=4,b=3,c=5は同じものとみなす。 using System; namespace prob8_1 { class Program { static void …

一週間で身につくc#の勉強中18

久しぶりにc#の勉強。以前のコードは全て手探り状態でどうにか仕上げたのでもう一度チャレンジ。 独習 c# 第3版 という ハーバート・シルト さんの書いた本で勉強したので少しはきれいなコードが書けるのではないかな。分厚い本でまだまだ途中だけどここ…

上機嫌で何が悪い!ブログ「火花」又吉直樹著

「この小説は、僕のことを書いているんだ。」と思わせる小説がいい小説なら、これは間違いなくいい小説です。スパークスの徳永は、何事も突き詰めることができなかった僕そのもののようです。 『僕は徹底的な異端にはなり切れない。その反対に器用にも立ち回…

上機嫌で何が悪い!ブログ「フランシス子へ」吉本隆明著

前半1/3は愛猫フランシス子と自分の関わり方。中盤に村上一郎のエピソードとホトトギスの実在性を疑うくだりをはさみ、後ろ1/3で親鸞の生き方。吉本が思いつくままに、記述してそうな一冊。 この人を貫いているのは、「立ち止まって考えなおしてみる」ことな…

上機嫌で何が悪い!ブログ「となりの漱石」山口謠司著

漱石は、いったい、どんなものを食べるのが好きだったのだろうか?プリン パイナップル トースト クルミも食べていた。感覚的には、僕の「おばあちゃん」と同じような意識ではなかっただろうか。 漱石は、孤独だったのか?もちろん孤独ではなかったはず。数…

上機嫌で何が悪い!ブログ「変身」フランツ・カフカ著 高橋義孝訳

この本、わずか100ページを少し超える程度の厚さ、なのに読み終えるのに、結構な時間を要しました。理由は単純で、あまりに気持ち悪くて、何度も本を閉じてしまったから。 もっと現代風にソフィスティケートできないかな。そう、例えば『「僕」が交通事故に…

上機嫌で何が悪い!ブログ「ナイン・ストーリーズ」J.D.サリンジャー著 野崎孝訳

「BANANA FISH」(吉田秋生作) は高校生の時に熱狂的に読んだ。あの漫画の各編のタイトルは、アメリカ文学由来だったとは、高校生の僕は知る由もなく。 僕は男の子だから特にそうなのかもしれないけど、自分が社会にどう受け入れられていくのか、とか、社会…

上機嫌で何が悪い!ブログ「夏目漱石を読む」吉本隆明

明治の文豪 夏目漱石に迫る一冊。「迫る」というかもう「抉って」います。その生い立ちから、育った家庭環境から、作中人物から、文体から。吉本隆明特有の「〇〇〇と思います。」という言い切りの表現が多いのが気になるけど、吉本隆明ならでは、ということ…

上機嫌で何が悪い!ブログ「本は、これから」池澤夏樹編

「BOOK」を生業とする36人の著者のオムニバス形式の一冊 概ね著者達の論調は、一部の本は電子メディアにとって代わるものの、紙の本は依然として残るであろう、ということで一致しています。 そこに本の流通システムへの自己反省や、装丁業界からの反論、本…

上機嫌で何が悪い!ブログ「本当の戦争の話をしよう」ティム・オブライエン著 村上春樹訳

僕にも面白い本をかぎ分ける能力が育っているのだろうな。いっつも他人のおすすめばかりだけど、この本についてはおもしろそうな匂いを「感じ取った」。しかもタイトルに「戦争」なんてワードが入っているにも関わらず。 オリジナルのタイトルは「Things The…

上機嫌で何が悪い!ブログ「悲しみよ こんにちは」フランソワーズ・サガン 河野万里子訳

「悲しみよ こんにちは」のタイトルの重さよ。生涯を通じて向かい合っていく(受け止めきれるものか、受け止めきれないものかはその人それぞれだけど。)記憶と18歳の時に出会う。それを「こんにちは」とはよく言ったものよ。 自分の中に抱え込まずに、剥き…

上機嫌で何が悪い!ブログ「ヴェネツィアの宿」須賀敦子著

文体の美しさに不思議と惹かれる。何度読み返してもこれって、抒情詩だよな、と思える。過ぎ去ったむかしを慈しむように、懐かしく思い起こす時に、こんな文体が自然と湧き出てくるんだろうか? 例えばこんな感じ。「昼下がり風がレモンの葉裏をゆっくり吹き…

上機嫌で何が悪い!ブログ「織田信長合戦全録」谷口克広著

子供向けか!と言いたくなるタイトル。しかし中身はそうでないことは、谷口克広の本を何冊か読んできた僕は知っている。「おわりにから」一文。「だが、ただ一つだけ認めていただきたい。それは、私はずっと続けてきた基本姿勢、つまり良質の資料にこだわっ…