永井荷風や織田作之助が好きな僕が面白いと思える一冊。明治期の東京に住む筆者を通して江戸期の風俗が垣間見ることができる。「逝きし世の面影 渡辺京二」の世界のようでもあり、現代に生きる僕の日常におきる付き合いの世界のようでもある。 文豪夏目漱石…
いろいろと示唆に富んでいるように思えます。 『夕方が一日で一番いい時間なんだ』と海のそばで夕陽を見ながら教えられます。60歳台の太った男がスティーブンスにいうセリフです。きっとそうなんでしょう、僕は退職後の第二の人生をすごく楽しみにしています…
確実に僕の感覚の世界が広がった本、海ではこんなことがおきていたのか。 筆者は「ニューヨークタイムズ」の記者で、この一連の取材でピュリッツァー賞受賞。ソマリアやタイの大臣に直接電話することができるほどの権力と人脈と資金力と技術力を駆使して、大…
言葉を使って思考する以上、言葉の選択が思考の精度を誘導することになります。この本は、その発端となる最初の言葉が、日常のちょっとした違和感のような感覚から発生している、その発生をよく描いています。その感覚を生み出す感性が非常に鋭いのです。 例…
ゲームオブスローンズの世界やん!これが第一印象です。騎士、ドラゴン、鬼、砦がいかに効率よく人を殺すことができるのか、そして民族間の対立。 ブリトン人もサクソン人もともに同じ神(キリスト教)を信仰しながら根深くいがみ合っているのは不思議な感じ…
やっと読むことができたカズオ・イシグロ。強烈なインパクトのある小説、文句なく面白いです。全体の構成や詳細も無理している感じはなく、世界に引きずりこまれます。小学校から高校まで系列学校で育った僕にとってヘールシャムでのキャシーのスクールライ…
偏愛、ドストエフスキーへの偏愛が感じられます。深読み、精神的外傷、偶然の出会い いろいろな角度から筆者はドストエフスキーの世界にはまり込みます。 船曳健夫「旅する知 世紀をまたいで世界を訪ねる」に似ているかもしれません。知識が多い人間は、偶然…
ジャック・ロンドン こんな短編小説家がいたなんて!タイトルにもなった「火を熾す」の鮮烈なこと。マイナス50度の中を歩き続けることの危険性、たった一度の判断の誤り、ー雪がたっぷり積もった木の下で火を熾してしまったことー、が生死を分けるその命の営…
いいなぁ沢木耕太郎、思いつきを行動に移す反射神経が好きです。例えば軽井沢の雲場池の存在を隣り合わせた老婦人から教わったこんな文章で。「しかし、この偶然を生かさない手はないと思えた。軽井沢で降りると、老婦人が教えてくれたとおり循環バスに乗っ…
江戸時代の参勤交代のイラストへの説明に、上杉謙信の「車懸かりの陣を基にした」とありました。平和な時代の行列と軍神と呼ばれた謙信公の戦術がどない関係するねん!と疑問でした。なんと、弓 鑓 騎馬 鉄砲等の兵種別の運用を本格的に始めたのが謙信公だっ…
テーマの沿ってツイートが並ぶ形式。「テクスト(かかれたもの)は宿命的に相手には届かない」、という内田樹先生の言葉を信頼して、どんどん読み進める。複数の連続するツイートで一つのテーマを形成している箇所もありますが、基本的には一つのツイートで…
アメリカ文学って、そんなにも魅力的なのかぁ、と思える対談集、講義録。正直言って、マニアックすぎてついてけないところもあります。でも、お二人のあまりにも楽しそうな雰囲気に呑まれて、ついアメリカ文学をいろいろと読んでみようかなと思わせられます…
イタリアについて書いてある本は、まぁある。少ないにせよ読んだこともある。須賀敦子とか塩野七海とか。イタリアの文学ってどんなの?国に独特な発想とか文物の表現とか文脈ってあるの? 僕たちは、「国語」を使って思考するから、語法の檻から抜け出すこと…
随筆なのか小説なのか?自伝的小説と「帯」にあったけど、いやいや、少なくとも分量の半分は随筆です。 人生の自分に降りかかってきた出来事を「たまたま(偶然)」起こったことであっても、それらを撚り合わせて因果関係を見出し、そして必然と見做す。それ…
前作と打って変わって、主人公に鬱屈した人物を据える。その鬱屈ぶりが「辛うじてわかる」、と「訳が分からない」のボーダーラインを行ったり来たり、な一作。 例えばこういうところは「わかる」。『金もないのになぜ腹がへるのだろう。人の親から送られた食…
言葉には、その言葉が背負っている背景、使われ方、文脈がつきまといます。それがあるから、比較的短い文章で理解できるメリットで、恩恵を受けることのほうが多いと自覚しています。 でも僕がこの本の感想を書こうとおもった時、そんな言葉が内包する言葉の…
まぁ読むのに時間がかかったこと。短編集なのに。 精神科病棟から始まる夫婦の生活、その過去が徐々に明らかにされていく。病床から妻の呪詛の言葉が続く。夫の内的告白も続く。どっちも疲れるのです。 呪詛の言葉は、もはや答えようのない質問という形で、…
やっぱり学者の知識は面白い、と再確認。中学生の頃、「ヒトにフイ打ち(1221年)「承久の乱」と覚えたぐらいしか思いれのない争いが、人物の迷いまで感じられる、身近に感じられます。 冒頭、「幕府」というきちんとした政治システムが確立されていたわけで…
prob8-3. 任意の数値の階乗を求めるプログラムを作りなさい。階乗とは、その数から一つずつ減らした全ての数を書けた数値のことであり、例えば、6の階乗は、6×5×4×3×2×1=720となる。 using System; namespace prob8_3 { class Program { static v…
少し不思議なふわふわとした印象の文体、でも取り扱っている素材はシュールレアリスッテクな未来。ヨーロッパ圏(ドイツ)に永住権を有するだけあって、言語や人種に関する意識が鋭く、非常に面白い一冊。 既に滅んでしまっている(滅んだ理由はついぞ明らか…
prob8-2.(ピタゴラス数2) prob8-1.のデータから、重複を取り除いた組み合わせと、その数を表示するプログラムを作りなさい。具体的には、a=3,b=4,c=5と、a=4,b=3,c=5は同じものとみなす。 using System; namespace prob8_1 { class Program { static void …
久しぶりにc#の勉強。以前のコードは全て手探り状態でどうにか仕上げたのでもう一度チャレンジ。 独習 c# 第3版 という ハーバート・シルト さんの書いた本で勉強したので少しはきれいなコードが書けるのではないかな。分厚い本でまだまだ途中だけどここ…
「この小説は、僕のことを書いているんだ。」と思わせる小説がいい小説なら、これは間違いなくいい小説です。スパークスの徳永は、何事も突き詰めることができなかった僕そのもののようです。 『僕は徹底的な異端にはなり切れない。その反対に器用にも立ち回…
前半1/3は愛猫フランシス子と自分の関わり方。中盤に村上一郎のエピソードとホトトギスの実在性を疑うくだりをはさみ、後ろ1/3で親鸞の生き方。吉本が思いつくままに、記述してそうな一冊。 この人を貫いているのは、「立ち止まって考えなおしてみる」ことな…
漱石は、いったい、どんなものを食べるのが好きだったのだろうか?プリン パイナップル トースト クルミも食べていた。感覚的には、僕の「おばあちゃん」と同じような意識ではなかっただろうか。 漱石は、孤独だったのか?もちろん孤独ではなかったはず。数…
この本、わずか100ページを少し超える程度の厚さ、なのに読み終えるのに、結構な時間を要しました。理由は単純で、あまりに気持ち悪くて、何度も本を閉じてしまったから。 もっと現代風にソフィスティケートできないかな。そう、例えば『「僕」が交通事故に…
「BANANA FISH」(吉田秋生作) は高校生の時に熱狂的に読んだ。あの漫画の各編のタイトルは、アメリカ文学由来だったとは、高校生の僕は知る由もなく。 僕は男の子だから特にそうなのかもしれないけど、自分が社会にどう受け入れられていくのか、とか、社会…
明治の文豪 夏目漱石に迫る一冊。「迫る」というかもう「抉って」います。その生い立ちから、育った家庭環境から、作中人物から、文体から。吉本隆明特有の「〇〇〇と思います。」という言い切りの表現が多いのが気になるけど、吉本隆明ならでは、ということ…
「BOOK」を生業とする36人の著者のオムニバス形式の一冊 概ね著者達の論調は、一部の本は電子メディアにとって代わるものの、紙の本は依然として残るであろう、ということで一致しています。 そこに本の流通システムへの自己反省や、装丁業界からの反論、本…
僕にも面白い本をかぎ分ける能力が育っているのだろうな。いっつも他人のおすすめばかりだけど、この本についてはおもしろそうな匂いを「感じ取った」。しかもタイトルに「戦争」なんてワードが入っているにも関わらず。 オリジナルのタイトルは「Things The…