上機嫌で何が悪い!ブログ「夏服を着た女たち」

大学の時から読みたかった一冊。常盤新平訳の短編集。ブックオフにて購入。

普通の人の人生を雑巾のように絞ると、一編か、せめて数編の短編が搾り取れるだけだ、といった先達がいた。手元に資料がないが、司馬遼太郎先生だっだと記憶している。

さて、内容は、期待を裏切らない、とにかくニューヨークを舞台にしているせいか都会の華やかさが迫力をもって迫まり、男女の関係の危うさを浮き立てせているのが特徴かな。そして、集中力を欠かさないようについていかなければ、一瞬で置き去りにされる。ま、短編集なら そりゃそうか。

タイトルとなった編 夏服を着た女たち「The Girls In Their Summer Dresses」のマイクルはまさに俺そのものじゃないか、現実に捉われながら、それでも夢、夢が表出されたもの、をその目で追いかけ、そしてフランセスの脚をみて、現実に折り合いをつける。わかる~わ~。

全十編、どれをとっても、人生を絞って濃縮させたり、蒸留させたり。凄いなぁ、どうすれば、個人的にはモニュメント「The Monument」のグリメット氏や80ヤード独走「80Yard Run」のダーリング氏のような役回りに共感し、深い味わいを感じたりする。

しかし、常盤新平の訳、上手だなぁ。都甲幸治や柴田元幸と比べてどうなんだろう?読みやすいと思いました。