上機嫌で何が悪い!ブログ「デッドライン」 千葉雅也著

 言葉には、その言葉が背負っている背景、使われ方、文脈がつきまといます。それがあるから、比較的短い文章で理解できるメリットで、恩恵を受けることのほうが多いと自覚しています。

 でも僕がこの本の感想を書こうとおもった時、そんな言葉が内包する言葉のもつ定義を超えた意味づけは、明らかに邪魔になりました。

 それは、この「デッドライン」が、僕の有り合わせの感性では太刀打ちできない新しいぶっ飛び方をしているからです。  「聖と俗が混然とする」最初に浮かんだのがそんな言葉でしたが、いやぁ、違います。「両極端を一人の人格が引き受ける」少し近づきましたが、正鵠を得ていません。

 大学院生の主人公の〇〇(※ホントに〇〇となっています。)としては、人生を積み重ねてきた結果の現状であり、欲望に正直に、才能に従う、矛盾のない人生なのでしょう。でも読者としてはいつ破綻するのか、いろいろな破綻要因を内包していることで、はらはらし、グイグイ引き付けられます。まじで面白いです。