上機嫌で何が悪い!ブログ「死の棘」島尾敏雄
まぁ読むのに時間がかかったこと。短編集なのに。
精神科病棟から始まる夫婦の生活、その過去が徐々に明らかにされていく。病床から妻の呪詛の言葉が続く。夫の内的告白も続く。どっちも疲れるのです。
呪詛の言葉は、もはや答えようのない質問という形で、延々と吐き出され続けます。それはまるで蜘蛛の糸のように夫を縛り付けていきます。夫はなぜ逃げださないのか?単なる自責の念や加害意識でなない何か、末章では、妻を愛しているような内的告白もありますが、そのわけのわからなさが、呪詛の言葉の恐ろしさではないでしょうか。
読了後、解放感を覚えました。二度と読みたくない、のでしょうか?いや、むしろ毒にも薬にもなる本です。猛毒か良薬か、それは僕の今の環境に依存するところ、なんでしょうね。