上機嫌で何が悪い!ブログ「ナイン・ストーリーズ」J.D.サリンジャー著 野崎孝訳

「BANANA FISH」(吉田秋生作) は高校生の時に熱狂的に読んだ。あの漫画の各編のタイトルは、アメリカ文学由来だったとは、高校生の僕は知る由もなく。

僕は男の子だから特にそうなのかもしれないけど、自分が社会にどう受け入れられていくのか、とか、社会とのコミットメントなんて夢寐にも考えない時期が長くありました。中学2年生の頃までがそんな時期だったと思います。

ただ、中学3年生の頃になると、ようやく自分がどう振る舞うべきなのかとか、他者からの目線を意識した行動をとるようになったような気がします。女の子からモテたいという欲が出てきたということなのでしょうか?

ナインストーリーズに出てくる少年たち、 ”笑い男”のコマンチ団に所属している私は9歳、”小舟のほとりで”のライオネル・タンネンバウムは「たがが四つの小僧っこ」、”エズミに捧ぐ”のチャールズは「5つくらいであろうか」、”テディ”のシオドア・マカードルは「たったの10歳」。

キャッチャーインザライ”のホールデン・コールフィールドにしても、だいぶん大人っぽくなってやっと16歳。

サリンジャーは、社会の規範とか期待される振る舞い方とかの意識がない年齢の少年たちの機微を、発言や態度から上手に現生させています。「お前も昔はそんなだったよな」と、指摘されているようで、なんだかこっぱずかしくなります。

にしてもサリンジャーの短編、怖いなぁ。ぞっとします。