上機嫌で何が悪い!ブログ「ヨーロッパ退屈日記」伊丹十三

戦争で負けた日本人のヨーロッパに対する「気負い」みたいなものを感じる一冊。歴史を経たいわゆる「正統な」文化が薄まっていく昨今の流れの中で、まっとうに文化を吸収するような生き方は、支持されにくいんでしょうね。だいたい正統な文化って高コストですよね、いろんな意味で。(華道とか茶道とか)

文化の担い手が、高コストに耐えうる有閑人だけとか、ほんの少しの高齢者たちだけ、という状態は先細りになってやがて消滅していく。(沖縄にも宮古語、本島後や奄美語などある。言語は、文化の象徴なので参考として)

僕は、一部の金持ちが独占的に文化を「飯のネタ」にしている状態は危険だと思います。幅広く庶民の肌感覚までこなれた文化こそが、オリジンを保っていないかもしれませんが、生き残る文化だと思っています。なにせ、文化は「文化」として意識されている限り邪魔くさいものですもんね。(だれが、障子を開けるときに両膝をついて、両手であけますか?)

だけど、必要なんですよね、文化って。それに包まれてる限り、癒されますからね。障子を開けるときに両手で開ける人を見たときにどこか「ホッと」していませんか?文化って、肌を包む被膜みたいなものでしょうかね。それが無ければ、寒々しくなります。

もちろんヨーロッパにも高々として文化がある。その文化を吸収しようとした筆者からの一文。「つまり、男のお洒落というのは、本筋、でなくてはならぬ。スタンダードでなくてはならぬ。場違いであってはならぬ、のです。」

気負い、感じませんか?びんびんに。