上機嫌で何が悪い!ブログ「戦国の陣形」 乃至政彦著

 江戸時代の参勤交代のイラストへの説明に、上杉謙信の「車懸かりの陣を基にした」とありました。平和な時代の行列と軍神と呼ばれた謙信公の戦術がどない関係するねん!と疑問でした。なんと、弓 鑓 騎馬 鉄砲等の兵種別の運用を本格的に始めたのが謙信公だったのですね。

  歴史学、最近特に深化が進んで、面白い研究や仮説が多くでています。最新の陣形(備え、配置)や兵の運用(手だて、戦術)に言及したこの本は、非常に面白いです。

 中世の戦の様子、てんでばらばらに功名を競った個人戦の積み上げであったことは、太平記平家物語なんかでは感じていました。戦国時代、長篠の戦いでは鉄砲の集団運用がされていた様子です。その間、誰がどうやって進歩させたのか。(この進歩について、僕は特に疑問を感じてなかったのです。そういうもんだと刷り込まれていたのですね。常識にに囚われていました。)そして、答えは信長ではなかったのですね。てっきり信長公だと思っていました。信長公イコール革新的な合戦という印象ですので。

川中島、三方ヶ原、関ヶ原の三つの戦いを一次資料を基に詳細に時系列で追っていくことで、合戦のイメージが変わります。特に関ヶ原(青野ヶ原の戦い)はほんとに当たり前が変わります。小牧長久手の戦いが三か月続いたわりに、なぜ関ヶ原が半日でおわったのか。(長い間疑問でした。)この疑問が少し晴れます。

 歴史好きにはたまらない 非常に興味深い一冊です。