上機嫌で何が悪い!ブログ「戦争の日本中世史」呉座勇一

 

吉川英治太平記大好きで子どもの頃から 何回も読んだ。僕は、昔から敗ける方の応援をしたくなる性質で、「蜀」の姜維が好きだったり、南朝北畠顕家が好きだったりした。そんなことは、ロマンでしかないと改めて気づかされた一冊。

 この時代を戦った御家人たちが、いろいろな種類のプレッシャーを受けながら頑張っていたことが、「文書」を通して浮かび上がってくる。訴えや安堵、嫡子庶子、本家分家、輻輳する権利関係や一円化、戦費調達のための借金、一揆という契約。全く中世の見方が変わって、いきいきと感じられる、逆言すれば、大義名分や戦争に勝った負けただけではない部分がくっきりと見えてきて、視界が広がったように感じられた。でもやっぱり吉野と京都に天皇がいるというのは、当時の人びとにとっても異常な事態だったんだな。

 平和って、かっこ悪くたっていいという主張には、頷かされる。薩た山体制にしても、足利義詮の大いなる妥協にしても、畠山満家を首班とする(対足利義教)体制にしても、現実的に可能な平和維持のための努力って、理解されにくいのかもしれない。後世の人の評価を待って初めて報われるのかな。「まずまずの平和」を膝を折って、頭を垂れてでも、守ろうじゃありませんか

〇〇さえなければ平和なのに~」ってのは、誤りがちな選択肢ですね。〇〇は、お好きにどうぞ。