上機嫌で何が悪い!ブログ「本当の翻訳の話をしよう」村上春樹 柴田元幸 著
アメリカ文学って、そんなにも魅力的なのかぁ、と思える対談集、講義録。正直言って、マニアックすぎてついてけないところもあります。でも、お二人のあまりにも楽しそうな雰囲気に呑まれて、ついアメリカ文学をいろいろと読んでみようかなと思わせられます。どんな広告よりも、効果的。
サリンジャーやフィッツジェラルドはともかく、ジョン・ペイリーって誰よ?ジャック・ロンドンってどなた?って世界に住んでる僕にとっては、なんだか世界が広がったような感覚です。(近所の図書館にあるかしら?)
最終章の「本当の翻訳の話をしよう」で、村上春樹と柴田元幸の翻訳の比較が載っています。レイモンド・チャンドラー「PLAY BACK」のあのフレーズ「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない。」の訳。原典では「 If I wasn
t hard, I wouldn
tbe alive. If I couldn
」一文。村上訳は「厳しい心を持たずに生き延びてはいけない。優しくなれないようなら生きるに値しない」 柴田訳は「無情でなければ、いまごろ生きちゃいない。優しくなければ、生きている資格がない」t</code><code>ever be gentle, I wouldn
t deserve to be alive.
僕としては、hardを厳しい心と訳する村上訳より柴田訳のほうの方が好きです。(どっちがいいのかわかりません。「PLAY BACK」は村上春樹訳で既読ですが、全く気になりませんでした。)そんなことより、第一文と第二文の間に、強調の「しかし」や「でも」とか入れたくなります。より対比が鮮明になるような気がするのですが。
最後に、この一冊を読むことで、確実に翻訳が身近に感じることができるようになるという点でおすすめです。(翻訳文学の広告になってるでしょうか?)