上機嫌で何が悪い!ブログ「銀河を渡る 沢木耕太郎」

沢木耕太郎好きだな、と思っていたら、この本に、こんな一節があった。「私はどんなことについてもあまり「諦め」をいだかないタイプの人間である。言うまでもないが、自分はオールマイティですべてのことが可能であると過信しているわけではなく、漠然といつかどうにかなるだろうと思っているにすぎなのだ。」(「まだ、諦めない」より)、なるほどこの楽天思考が、さらなる一歩、次の一手を駆り立てるのか。この楽天的な軽さこそが、僕が沢木耕太郎に惹かれる源かも知れないな、と思った。

大学の頃に「深夜特急」を読み感銘を受けて、でも行動に移せなかった僕が、長じて仕事を言い訳にして、やはり行動に移さないことを、嘲笑うかのような、沢木の多彩な仕事ぶりが次々に披歴される。遠くの目標を樹てず、「ただ、眼の前にあるたったひとつの仕事をできるだけ手を抜かずに仕上げるということに集中しているだけである。(スランプってさあ、と少年は言った)より」という生き方かぁ。よし、僕も負けないように頑張ろう。

最後に、すごくお勧めできる一編「失われた古書店」。この編に、沢木が「完璧な休日」と思う過ごし方を紹介している。僕もいままで自分なりの「完璧な休日」を妄想してきたが、それを超えて「完璧」なのだ。それは、「明るい気怠さ」と、「思索的な気分」が横溢し、入り混じった、それはそれは「完璧」な休日なので、ぜひ読んでください。